初盆・新盆のお返しの品物選びとマナー:心を込めて感謝を伝えるヒント


故人にとって初めて迎えるお盆である「初盆(はつぼん)」や「新盆(にいぼん)」。故人を偲び、ご供養のためにご親族やご友人、ゆかりのある方々がお見えになり、お供え物や御仏前をいただく大切な機会です。そんな時、「どんなお返しが良いの?」「金額はどのくらいが目安?」「お礼状はどう書けばいい?」といった疑問が浮かぶ方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、初盆・新盆のお返しについて、心温まる感謝の気持ちを伝えるための品物選びから金額の目安、そして大切なマナーやお礼状の書き方まで、やさしく丁寧に解説します。


初盆・新盆のお返し、どんな品物が喜ばれる?

お返しの品物を選ぶ際の一番のポイントは、**「後に残らないもの=消えもの」**を選ぶことです。これは、悲しみを後に残さないという意味合いが込められています。また、夏の暑い時期に行われることが多いため、日持ちがして常温で保存でき、持ち運びしやすいものが特に喜ばれます。

  • 定番の消耗品
    • 洗剤や石鹸、入浴剤: 日常的に使うもので、どのご家庭でも重宝されます。
    • タオル: 何枚あっても困らない実用品として人気です。
  • 日持ちする食品
    • お菓子(和菓子・洋菓子): 水ようかんやゼリーなど涼を感じるもの、クッキーや焼き菓子など個包装で日持ちするもの。
    • お茶、コーヒー、紅茶: 飲み物は日常で消費されやすく、好みが分かれにくい品です。個包装のドリップコーヒーやティーバッグなども人気です。
    • 海苔、素麺、調味料: 軽くて持ち運びやすく、毎日の食卓で活躍する食品です。特に素麺は、夏の時期にぴったりの「消えもの」として定番です。

選ぶ際のちょっとした気遣い:

  • 軽くてコンパクトなもの: 遠方からいらっしゃる方や、公共交通機関を利用する方には、荷物にならないものが喜ばれます。
  • 個包装のもの: 家族構成を問わず配りやすく、相手の負担になりにくいです。
  • 故人が好きだったもの: 故人を偲ぶ気持ちが伝わり、喜ばれることもあります。「故人が生前好きだったものでございます」などと一言添えると、より心が伝わるでしょう。

気になる金額の目安は?相場をチェック!

お返しの金額は、いただいた御仏前やお供え物の金額の**「3分の1から半額程度(半返し)」**が一般的とされています。

  • 一般的な目安:

    • 例えば、5,000円の御仏前をいただいた場合は、1,500円~2,500円程度のお返しが目安です。
    • 10,000円の御仏前をいただいた場合は、3,000円~5,000円程度のお返しが目安となります。
  • 高額な御仏前への対応:

    • もし高額な御仏前をいただいた場合でも、必ずしも半額にこだわる必要はありません。相手に気を遣わせないよう、3分の1、あるいは4分の1程度でも失礼にはあたりません。お気持ちを大切にしましょう。
  • 会食があった場合:

    • 初盆法要後に会食(お斎)を設けた場合は、この会食も「お返しの一部」と考えることができます。そのため、会食の有無によって引き出物の金額を調整することもあります。会食がない場合は、お返しの品物を少し手厚くすることも検討しましょう。
  • 少額の御仏前の場合:

    • 少額(例:500円~1,000円程度)の御仏前やお供え物をいただいた場合は、洗剤やラップなどの安価な消耗品がおすすめです。相手に余計な気遣いをさせずに受け取ってもらえます。

これで安心!初盆・新盆のお返しのマナー

お返しの品物を渡す際には、いくつか知っておきたいマナーがあります。

  • 贈るタイミング:

    • 法要に参列された方へは、当日お帰りの際にお渡しするのが基本です。
    • 法要には参列せず、御仏前やお供え物を郵送などで送ってくださった方へは、お盆が終わってから遅くとも2週間以内、できれば8月中には届くように手配するのが丁寧です。
  • のし(掛け紙)について:

    • 水引の種類: 「黒白(くろしろ)」または「黄白(きしろ)」の「結び切り(むすびきり)」の水引を選びます。結び切りは、「一度きりであってほしい」という願いが込められています。
    • 表書き(のし上): 一般的には「志(こころざし)」と書きます。その他、「初盆志(はつぼんごころざし)」「新盆志(にいぼんごころざし)」「初盆供養」「新盆供養」「粗供養(そくよう)」なども用いられます。地域によって異なる場合があるので、不安な場合は地域の慣習に詳しい方に尋ねてみましょう。
    • のしのかけ方: 品物に直接のしをかけ、その上から包装する「内のし」が一般的です。控えめな印象になり、配送途中で汚れたり破れたりするのを防ぐメリットもあります。

心が伝わる礼状の書き方と例文

お返しの品物には、感謝の気持ちを伝えるお礼状を添えるのがマナーです。特に、郵送でお返しを送る場合は必ず同封しましょう。

礼状の基本構成:

  1. 頭語(拝啓など)
  2. 時候の挨拶
  3. 御仏前やお供えへのお礼の言葉
  4. 故人が喜んでいる旨や、法要が無事に済んだ報告
  5. 今後のお付き合いをお願いする言葉
  6. 相手の健康を気遣う言葉
  7. 結びの挨拶と、書面での挨拶になったことへのお詫び
  8. 結語(敬具など)
  9. 日付、差出人名(喪主の氏名)、親族一同など

例文1:初盆法要に参列された方へ(品物と一緒に手渡しする場合にも応用できます)

拝啓

この度、亡〇〇(故人の氏名)の初盆に際しましては、お暑い中、またご多忙の中にもかかわらずお集まりいただき、ご鄭重なるご厚志を賜り、誠に有難く存じます。故人もさぞかし浄土において感謝していることと存じます。

つきましては、ささやかではございますが、亡〇〇の初盆供養のしるしといたしまして心ばかりの品をご用意いたしました。何卒ご受納いただければ幸いです。

略儀ではございますが、書中をもちましてお礼のご挨拶とさせていただきます。

本日は誠にありがとうございました。

敬具

令和〇年〇月〇日

(喪主の氏名)

(親族一同)

例文2:法要には参列されなかった方へ(御仏前やお供えを郵送してくださった場合)

拝啓

毎日暑い日が続いておりますが、皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。

この度は、亡〇〇(故人の氏名)のために、過分なるご厚志を賜り、誠にありがとうございました。心より御礼申し上げます。謹んで仏前にお供えさせていただきました。

私どももようやく落ち着いてまいりました。時節柄、〇〇様(相手の氏名)もお身体に気を付けてお過ごしくださいませ。

本来であれば、直接お目にかかってお礼を申し上げるべきところではございますが、略儀ながら書中をもちましてお礼かたがたご挨拶申し上げます。

敬具

令和〇年〇月〇日

(喪主の氏名)


まとめ

初盆・新盆のお返しは、故人への感謝と共に、ご供養のために足を運んでくださった方々や、お心遣いをいただいた方々へ「ありがとう」の気持ちを伝える大切な機会です。品物選びや金額、マナーに心を配り、そして何よりも「ありがとう」の気持ちを込めたお礼状を添えることで、より温かい感謝の気持ちが伝わることでしょう。

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