人工授精を始める前に知っておきたい!検査結果の見方とポイント
不妊治療の一つである**「人工授精」**を検討する際、まず行われるのが各種検査です。これらの検査結果は、人工授精があなたにとって最適な治療法であるかを判断するための重要な情報となります。
しかし、専門的な検査結果の数値や項目を前にして、「これはどういう意味だろう?」「この数値は良いの?悪いの?」と不安に感じる方も少なくありません。
今回は、人工授精を始める前に知っておきたい、検査結果の見方と、特に注目すべきポイントをわかりやすく解説します。
1. 女性側の検査:妊娠しやすい体かを知る
女性側の検査は、主に排卵や子宮の状態をチェックし、妊娠しやすい体かどうかを判断します。
①ホルモン検査
血液検査で、排卵に関わるホルモンの数値を測定します。
FSH(卵胞刺激ホルモン):
卵巣に卵胞を育てるように指示するホルモン。数値が高いと、卵巣機能が低下している可能性があります。
LH(黄体形成ホルモン):
排卵を促すホルモン。排卵期に急上昇するのが特徴です。
E2(エストラジオール):
卵胞が分泌する女性ホルモン。卵胞の成長具合を判断する指標となります。
AMH(抗ミュラー管ホルモン):
卵巣に残っている卵子の数の目安となるホルモンです。数値が低いと、卵子の在庫が少ないことを示します。
②超音波(エコー)検査
経膣超音波検査で、卵巣や子宮の状態を直接確認します。
卵胞チェック:
排卵日を予測するために、卵胞の大きさを確認します。
子宮内膜の厚さ:
受精卵が着床する子宮内膜が、十分に厚くなっているかを確認します。
2. 男性側の検査:精子の状態を知る
人工授精では、精子を子宮に注入するため、精子の状態が非常に重要となります。
①精液検査
精液を採取し、精子の数や運動率、奇形率などを調べます。
精子濃度:
精液1mlあたりの精子の数。WHO(世界保健機関)の基準では、1mlあたり1,500万個以上が正常とされています。
運動率:
元気に動き回る精子の割合。42%以上が目安です。
奇形率:
形が正常な精子の割合。4%以上が目安です。
これらの数値が低い場合でも、人工授精によって精子を直接子宮に注入することで、妊娠の可能性を高めることができます。
3. 専門医に相談するタイミング
検査結果は、あくまで治療方針を決めるための一つの指標です。
数値が基準値から外れていても…:
一部の数値が基準値から外れていても、他の検査結果や医師の総合的な判断によって、人工授精が有効な場合もあります。
不安なことは質問する:
検査結果を見て不安になったり、疑問に思うことがあれば、遠慮なく医師に質問しましょう。医師は、あなたに合った治療法を丁寧に説明してくれるはずです。
まとめ
人工授精を始める前の検査は、今後の治療方針を決める上で欠かせないものです。
難しい専門用語や数値に戸惑うかもしれませんが、これらの結果は、あなたとパートナーの体の状態を理解し、より良い未来へと進むための大切な情報です。
検査結果を一人で抱え込まず、パートナーや医師と共有し、理解を深めていくことが、治療を円滑に進めるための第一歩となるでしょう。