パートが厚生年金に入るメリットは?将来の年金受給額を増やす「攻めの働き方」のススメ
「パートで働いているけれど、社会保険に入ると損をするって本当?」
「厚生年金に加入すると、将来もらえる年金はどれくらい増えるの?」
今、多くのパートタイマーの方が、社会保険の加入基準(いわゆる106万円・130万円の壁)をめぐって悩んでいます。確かに、保険料が天引きされることで「目先の手取り額」は減ってしまいます。しかし、長い目で見ると、厚生年金への加入は「損」どころか、自分自身の人生を守るための非常に強力な「投資」になることをご存知でしょうか。
この記事では、パートの方が厚生年金に加入することで得られるメリットを徹底解説。将来の年金受給額を増やすための「攻めの働き方」の具体的なシミュレーションから、見落としがちな手厚い保障まで、詳しくお伝えします。
1. 「厚生年金」と「国民年金」の違いを正しく理解しよう
日本の年金制度は「2階建て」に例えられます。
1階部分:国民年金(老齢基礎年金)
20歳以上60歳未満の全員が加入するもの。
2階部分:厚生年金
会社員や公務員、そして基準を満たしたパートタイマーが加入するもの。
配偶者の扶養内で働いている場合(第3号被保険者)、あなたは「1階部分」にしか加入していません。しかし、自分で社会保険に入り厚生年金に加入すると、自動的に「2階部分」が上乗せされます。この「2階建て」にすることこそが、老後の安心を最大化する鍵なのです。
2. 厚生年金に入る5つの「攻め」のメリット
目先の手取り減少を補って余りある、厚生年金の主なメリットを整理しました。
メリット1:将来の年金受給額が「一生涯」増える
厚生年金に加入して働いた期間分、将来受け取れる年金に「報酬比例部分」がプラスされます。これは生きている限りずっと受け取れるため、長生きすればするほど、扶養内でいた場合との差額は数百万円単位に広がります。
メリット2:障害年金・遺族年金の保障が手厚くなる
万が一、病気やケガで障害が残った場合、厚生年金加入者であれば「障害厚生年金」が支給されます。これは国民年金の障害基礎年金よりも対象範囲が広く、支給額も多くなります。また、万が一の際の遺族年金も同様に手厚くなります。
メリット3:医療保険の「傷病手当金」が使える
社会保険(健康保険)に加入すると、病気やケガで連続して3日以上仕事を休んだ際、4日目から標準報酬日額の約3分の2が支給されます。扶養内(第3号)や国民健康保険にはない、働く人のための強力な所得補償です。
メリット4:会社が保険料の半分を負担してくれる
社会保険料は、あなたと会社が半分ずつ負担します。つまり、あなたが1万円払えば、会社も1万円を積み立ててくれていることになります。実質的に「会社から年金の積み立て補助をもらっている」ようなものです。
メリット5:老後の「加給年金」や「振替加算」の対象になる可能性
自身の厚生年金加入期間が一定以上あることで、配偶者の年金に上乗せされる手当などの対象になる場合があります。家族単位での受給額アップにつながるケースも少なくありません。
3. 【シミュレーション】年金はどれくらい増える?
では、具体的にどれくらい年金が増えるのでしょうか。
(※計算を分かりやすくするため、一定の条件下での概算です)
月収10万円(年収120万円)で10年間、厚生年金に加入した場合
将来もらえる年金(老齢厚生年金)は、年間で約6.6万円ほど増えます。
「え、それだけ?」と思うかもしれません。しかし、もし65歳から90歳までの25年間受給するとしたら、合計で約165万円の増額です。
さらに、この期間中は自分自身が「第2号被保険者」となるため、配偶者の扶養枠が今後廃止・縮小される議論(第3号被保険者制度の見直し)が起きても、自身の年金権が確立されているため影響を受けません。
4. 「働き損」を恐れずに「攻める」ための戦略
社会保険加入による手取りの減少を最小限にし、メリットを最大化するにはどうすればいいのでしょうか。
「150万円以上」を目指して働く
社会保険料(健康保険・厚生年金)は約15%ほど引かれます。年収106万円〜130万円の間は、引かれた分だけ手取りが減る「中だるみ」の時期ですが、年収150万円を超えてくると、扶養内だった頃(103万円以下)よりも確実に手取り額が増え、かつ将来の年金も大幅に増やせます。
企業の「社会保険適用拡大」をチャンスと捉える
現在は、従業員数51人以上の企業で働くパートの方が対象ですが、将来的にはすべての企業に拡大される見込みです。どうせ加入することになるのであれば、早めに加入して「厚生年金の加入期間」を稼いでおく方が、老後の受給額においては有利になります。
5. まとめ:厚生年金は「将来への最強の貯蓄」
パートタイマーにとって、社会保険への加入は「目先の手取り」を取るか、「将来の安心」を取るかの選択です。
確かに今の生活費は大切です。しかし、厚生年金は国が運営する、非常に効率の良い「終身年金」です。自分で個人年金やiDeCo(イデコ)を全額自己負担で運用するよりも、会社が半分負担してくれる厚生年金の方が、多くの場合で「利回り」が良くなります。
「扶養内で守られる」ステージから、自ら「厚生年金で攻める」ステージへ。
この機会に、ご自身の数十年後の生活を見据えた働き方を考えてみてはいかがでしょうか。
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