「どうしたらいい？」言うことを聞かない高齢両親との向き合い方と解決のヒント
「何度も言っているのに、全然聞いてくれない…」
「良かれと思って言っているのに、なぜか反発される…」
高齢になったご両親とのコミュニケーションで、こんな悩みを抱えている方は少なくありません。健康や安全に関わること、生活習慣、金銭管理など、心配だからこそ口出ししてしまうけれど、なかなか言うことを聞いてくれない現実に、途方に暮れてしまうこともあるでしょう。
この問題は、あなた一人で抱え込む必要はありません。今回は、「言うことを聞かない高齢の両親」との向き合い方について、その背景にある理由から具体的な対処法、そして頼れる相談先まで、多角的に見ていきましょう。
なぜ「言うことを聞いてくれない」のか？ 親の気持ちを理解する
ご両親があなたの言葉に耳を傾けてくれない時、そこには様々な理由が隠されていることがあります。
1. 変化への抵抗とプライド
長年培ってきた生活習慣を変えるのは、誰にとっても難しいことです。高齢になるにつれて、新しいことへの適応力が低下することもあります。また、「子どもに指図されたくない」という親としてのプライドや、「まだ自分でできる」という自尊心が、反発の背景にあることも少なくありません。
2. 認知機能の変化
認知症の初期症状として、物忘れがひどくなったり、判断力が低下したりすることがあります。同じ話をしてもすぐに忘れてしまったり、危険を認識できなかったりするのは、ご両親の意思とは関係なく、脳の機能が変化している可能性も考えられます。
3. 不安や寂しさ、不満の表れ
体が思うように動かなくなったり、社会との繋がりが減ったりすることで、ご両親は不安や寂しさを感じていることがあります。また、体調不良や生活への不満を、直接言葉にできない代わりに、頑なな態度で示している可能性も考えられます。
4. 子どもへの「甘え」や「信頼」
あなたの言葉に反発する一方で、実はあなたにしか頼れない、という甘えや信頼の裏返しであることもあります。親として、子どもに心配されたい、もっと気にかけてほしいという気持ちがあるのかもしれません。
どうすればいい？ 具体的な対処法
ご両親の行動の背景にある気持ちを理解した上で、具体的なコミュニケーションの方法や対策を考えていきましょう。
1. 話し方や伝え方を工夫する
- 「私メッセージ」で伝える: 「〜すべき」といった強い言葉や「〜しなさい」という命令形ではなく、「私は〜だと心配しているよ」「〜してもらえると安心なんだけど」と、あなたの気持ちを主語にして伝えましょう。
- 「聞き出す」姿勢で: 意見を押し付けるのではなく、「どうしてそう思うの？」「何か困っていることはない？」と、まずはご両親の言い分や気持ちを丁寧に聞き出すことから始めましょう。
- 選択肢を与える: 「これか、あれか」と、いくつか選択肢を与えてご両親に選んでもらうことで、「自分で決めた」という気持ちを尊重できます。
- 一度に多くのことを伝えない: 重要なことは、小出しにして伝えたり、時間を置いて何度も話したりする工夫が必要です。
2. 環境を整える・物理的な対策を検討する
- 安全な住環境づくり: 転倒防止のための手すり設置、段差解消、滑り止めマットの使用など、物理的に安全を確保する対策を検討しましょう。
- 自動化・簡素化: 例えば、薬の飲み忘れが多いなら自動で出てくるディスペンサー、火の消し忘れが心配ならIHクッキングヒーターの導入など、本人の負担を減らす方法も有効です。
- 見守りサービスの利用: 必要に応じて、センサーやカメラを使った見守りサービスを検討するのも一つの方法です。
3. 専門機関や第三者の力を借りる
ご自身の力だけで解決しようとせず、外部の専門家や第三者の力を借りることは非常に重要です。
- 地域包括支援センター: 高齢者の生活を地域で支えるための総合相談窓口です。介護に関する相談から、健康、福祉、医療まで幅広く対応してくれます。
- かかりつけ医: 身体の不調だけでなく、認知機能の変化など、医療の視点からアドバイスをもらえます。必要であれば専門医への紹介も可能です。
- ケアマネジャー: 介護保険サービスの利用計画を立ててくれる専門家です。ご両親の状況に合わせた適切なサービスを提案してくれます。
- 民生委員・社会福祉協議会: 地域住民の生活を支援する身近な相談窓口です。
- 行政の窓口: 各自治体の高齢福祉課や介護保険課などで、制度やサービスに関する情報提供を受けられます。
ポイント: 第三者からのアドバイスは、ご両親が素直に受け入れやすい場合があります。「専門家が言っているから」という形で、ご両親を説得する材料にもなり得ます。
4. あなた自身の心を守ることも大切
ご両親との関係に悩むことは、あなた自身にとっても大きなストレスとなります。
- 完璧を目指さない: 全てを解決しようとせず、できることとできないことを区別し、無理のない範囲で関わりましょう。
- 休息をとる: 疲れた時は、無理せず休息をとったり、趣味の時間を作ったりして、気分転換を図りましょう。
- 周囲に相談する: 兄弟姉妹、親戚、友人、そして同じ悩みを抱える交流会など、信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になります。
- 自分の人生を大切にする: あなた自身の人生も大切です。ご両親のことで頭がいっぱいになりすぎず、自分の幸せも追求する視点を持つことが重要です。
まとめ：一人で抱え込まず、頼れる人に頼ろう
「言うことを聞かない高齢の両親」との向き合い方は、本当に根気のいることです。しかし、その背景には、ご両親なりの思いや、加齢による変化が隠されていることが多いものです。
この問題は、あなた一人で解決できるものではありません。専門機関のサポートや、信頼できる第三者の力を借りながら、ご両親にとっても、あなたにとっても、より良い関係と生活を築いていく道を探しましょう。