人工授精(AIH)と体外受精(IVF)の違いとは?それぞれの特徴を徹底解説!


妊活を進める上で、「人工授精(AIH)」や「体外受精(IVF)」といった言葉を耳にする機会が多いかと思います。どちらも不妊治療の一種ですが、その目的や方法は大きく異なります。

この記事では、人工授精(AIH)と体外受精(IVF)それぞれの種類と特徴を分かりやすく解説します。どちらの治療法がご自身やパートナーに合っているのか、また、どのような場合にステップアップを検討すべきかの参考にしてくださいね。

人工授精(AIH)とは?

**人工授精(AIH:Artificial Insemination with Husband's sperm)**は、ご夫婦の精子を使い、女性の子宮内に直接精子を注入する方法です。

自然妊娠では、性交渉によって膣内に射出された精子が、子宮、そして卵管へと進み、卵子と出会う必要があります。しかし、精子の数が少なかったり、運動率が低かったりする場合、あるいは子宮頸管の粘液に問題がある場合など、精子が卵子までたどり着くのが難しいことがあります。

人工授精では、採取した精子を洗浄・濃縮して、運動能力の高い精子を選び出します。そして、細いカテーテル(管)を使って、卵管の近くまで精子を直接届けることで、受精の確率を高めます。

  • 受精の場所: 体内(子宮内)

  • 主な適応:

    • 軽度の男性不妊: 精子の数や運動率が基準値よりやや低い場合。

    • 性交障害: 勃起障害(ED)や射精障害、あるいは心理的な要因で性交渉が難しい場合。

    • 排卵障害: タイミング法では妊娠に至らなかった場合。

    • 原因不明の不妊: 他の検査で明らかな原因が見つからない場合。

  • 特徴:

    • 自然妊娠に近い: 受精から着床までのプロセスは自然妊娠と同じです。

    • 身体への負担が少ない: 処置時間は短く、痛みもほとんど感じない人が多いです。

    • 費用が比較的安価: 体外受精に比べて費用を抑えられます。

    • 成功率: 1周期あたり5~10%程度。複数回の治療が必要になることもあります。


体外受精(IVF)とは?

**体外受精(IVF:In Vitro Fertilization)**は、女性から採取した卵子と、男性から採取した精子を、体の外(培養液の中)で受精させる方法です。

卵子と精子を受精させた後、受精卵(胚)を数日間培養し、成長した胚を女性の子宮内に戻します(胚移植)。

  • 受精の場所: 体外(培養液の中)

  • 主な適応:

    • 両側の卵管閉塞・卵管機能不全: 卵子が卵管を通って精子と出会えない場合。

    • 重度の男性不妊: 精子の数が極端に少ない、運動率が非常に低い、または無精子症などで、顕微授精(ICSI)が必要な場合。

    • 重度の子宮内膜症:

    • 加齢による妊孕性の低下:

    • 人工授精で妊娠に至らなかった場合:

  • 特徴:

    • 妊娠への近道: 卵管の通過障害や重度の男性不妊など、人工授精では妊娠が難しいケースでも妊娠の可能性があります。

    • 高い成功率: 年齢にもよりますが、人工授精よりも一般的に成功率は高くなります。

    • 身体への負担: 排卵誘発剤の使用や採卵手術など、人工授精に比べて身体への負担が大きくなることがあります。採卵時には麻酔を使用することもあります。

    • 費用が高額: 人工授精に比べて費用が高くなります。


人工授精(AIH)と体外受精(IVF)の主な違い

項目人工授精(AIH)体外受精(IVF)
受精の場所体内(子宮内)体外(培養液の中)
妊娠までのプロセス精子を子宮に注入後、体内で自然に受精・着床採卵・体外受精・培養後、胚を子宮に戻し着床を待つ
主な適応軽度男性不妊、性交障害、タイミング法で妊娠せず卵管閉塞、重度男性不妊、重度子宮内膜症、人工授精で妊娠せず、高齢
身体への負担少ない(処置時間短く、痛みも少ない)比較的大きい(排卵誘発、採卵手術あり)
費用比較的安価高額
成功率1周期5~10%程度年齢によるが、AIHより高い

どちらの治療法を選ぶべきか?

どちらの治療法が適しているかは、不妊の原因、年齢、これまでの治療歴、そしてご夫婦の希望によって異なります。

  • まずは人工授精から

    一般的には、まずは**人工授精(AIH)**から開始し、複数回(通常3〜6回程度)試みて妊娠に至らない場合に、**体外受精(IVF)**へとステップアップすることが多いです。

  • 早期の体外受精が推奨されるケース

    ただし、以下のような場合は、最初から体外受精(IVF)を検討することが推奨されることもあります。

    • 両側の卵管が詰まっている

    • 精子の状態が非常に悪い(顕微授精が必要な場合)

    • 女性の年齢が37〜38歳以上で、妊娠率の低下が懸念される場合

    • 不妊期間が長い場合

最終的な治療方針については、必ず専門医とよく相談し、ご夫婦にとって最善の選択をすることが大切です。

妊活は、焦らず、そして諦めずに進んでいくことが大切です。それぞれの治療法の特徴を理解し、希望を持って取り組んでいきましょう! ✨