人工授精で失敗した原因ランキング:可能性のある要因を解説
人工授精は、不妊治療の中でも比較的体への負担が少ない治療法ですが、1回の成功率は決して高くありません。残念ながら失敗に終わってしまった場合、「なぜ失敗したんだろう」と原因を知りたいと思うのは当然のことです。
しかし、人工授精は、特定の原因が一つだけあって失敗するわけではありません。さまざまな要因が複雑に絡み合っていることがほとんどです。ここでは、人工授精の失敗に繋がる可能性のある主な要因を、考えられる順にランキング形式で解説します。
1位:卵子の質と精子の状態(受精の壁)
人工授精の最大の目的は、精子と卵子の出会いをサポートすることです。しかし、精子と卵子が出会ったからといって、必ずしも受精するわけではありません。
卵子の質:年齢を重ねると、卵子の染色体異常率が上がることが知られています。卵子の質が低いと、受精しても胚(受精卵)がうまく育たず、着床に至らないことがあります。
精子の状態:精子の運動率や数、奇形率などが低い場合、人工授精で直接子宮内に注入しても、卵子までたどり着き、受精する能力が足りないことがあります。
人工授精は、自然妊娠と同じように体内で受精が行われるため、精子や卵子の質が成功率を大きく左右します。
2位:着床の環境(子宮内膜の問題)
受精卵が子宮内膜にしっかりと着床して初めて、妊娠が成立します。この着床のプロセスがうまくいかない場合も、失敗の原因となります。
子宮内膜の厚さ:子宮内膜が薄すぎると、受精卵が着床しにくくなります。
子宮内膜の状態:ポリープや子宮筋腫など、子宮に何らかの問題がある場合、着床を妨げることがあります。
黄体機能不全:排卵後に分泌される黄体ホルモンが不足すると、子宮内膜を維持できず、着床しにくくなったり、せっかく着床しても流産につながることがあります。
3位:タイミングのずれ
人工授精は、排卵日に合わせて精子を注入することが非常に重要です。
排卵日の特定:排卵日を正確に予測することは、自己判断では難しく、病院での超音波検査やホルモン値のチェックが不可欠です。もし排卵のタイミングがずれてしまうと、注入された精子が卵子と出会う機会を逃してしまい、失敗の原因となります。
精子の寿命:精子の寿命は体内で2〜3日程度と言われています。タイミングがずれると、精子が卵子と出会う前に寿命が尽きてしまう可能性があります。
4位:卵管の問題
人工授精は精子を子宮内に直接注入しますが、その後、精子が卵管を通って卵子と出会い、受精する必要があります。
卵管の詰まりや癒着:卵管が炎症などで詰まっていたり、癒着していたりすると、精子が卵子までたどり着くことができません。この場合、人工授精では妊娠は望めず、体外受精へのステップアップが検討されます。
まとめ:失敗は次へのステップ
人工授精が失敗した場合、「自分のせいだ」と責める必要はありません。失敗の原因は、精子・卵子、子宮の状態、タイミングなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っているため、特定するのは非常に困難です。
大切なのは、失敗をただの終わりと捉えるのではなく、今後の治療を検討するための貴重なデータと考えることです。担当医としっかり話し合い、次のステップに進むための最善策を見つけていきましょう。