人工授精前に知っておくべき基礎知識：治療の流れと成功率、費用について
不妊治療の一つである「人工授精」。これから人工授精を考えている方は、「どんな治療なんだろう」「成功率はどれくらい？」「費用は？」といった疑問や不安をお持ちかもしれません。
この記事では、人工授精を受ける前に知っておくべき基礎知識を、分かりやすく解説します。
人工授精とは？基本的な治療の流れ
人工授精（AIH: Artificial Insemination with Husband's sperm）は、精子を採取し、洗浄・濃縮などの処理を施した後、排卵日に合わせて子宮内に直接注入する治療法です。
精子の運動能力や数に問題がある場合や、性交が困難な場合、原因不明不妊の場合などに選択肢の一つとなります。
治療の一般的な流れ
排卵日の特定：基礎体温、超音波検査、尿検査などで排卵日を予測します。
精子の採取：排卵日当日、または前日にご主人の精子を採取します。
精子の処理：採取した精子の中から、運動性の良い精子を抽出し、濃縮・洗浄します。
精子の注入：準備が整った精子を、細いカテーテルを使って子宮内に直接注入します。
黄体期のサポート：必要に応じて、排卵後の黄体期をサポートする薬が処方されることがあります。
人工授精の成功率と回数
人工授精の成功率は、年齢や不妊の原因によって大きく異なりますが、一般的には**1周期あたり5%〜10%**と言われています。これは、タイミング法よりも少し高く、体外受精よりは低い数値です。
年齢による成功率：35歳を過ぎると成功率は徐々に低下し、40歳を過ぎるとさらに低くなる傾向にあります。
実施回数：人工授精を5〜6回程度試みても妊娠に至らない場合は、体外受精へのステップアップが検討されることが一般的です。
医師とよく相談し、ご夫婦の状況に合わせた治療計画を立てることが大切です。
人工授精にかかる費用と助成金
人工授精は、保険診療が適用される治療です。そのため、高額な体外受精に比べて費用負担が少ないのが特徴です。
1回の費用目安：約1万円〜3万円（保険診療の場合）
自費診療の場合：施設によって異なりますが、約3万円〜5万円程度かかることがあります。
【注意点】
検査費用や排卵を促す薬代などは、別途費用がかかる場合があります。
地方自治体によっては、不妊治療の助成金制度を設けている場合があります。お住まいの地域の制度を調べてみると良いでしょう。
人工授精を受ける前に知っておくべきこと
1. 治療のタイミングと仕事の調整
人工授精は、排卵日という特定の日に合わせて治療を行う必要があります。仕事の調整が必要になる場合があるため、事前にパートナーと相談し、スケジュールを共有しておきましょう。
2. 精子の状態が重要
精子の質が人工授精の成功率を大きく左右します。生活習慣を見直すなど、日頃から精子の状態を良好に保つ努力も大切です。
3. ストレスを溜めないこと
不妊治療は精神的なストレスを感じやすいものです。一人で悩まず、パートナーと支え合い、不安なことは医師やカウンセラーに相談するなど、心身ともに健康な状態で治療に臨むことが大切です。
まとめ
人工授精は、比較的身体的な負担が少なく、費用も抑えられる不妊治療の入り口となる方法です。しかし、治療の流れや成功率、費用について事前にしっかり理解しておくことが、安心して治療に臨むための第一歩です。
パートナーとよく話し合い、お互いを支え合いながら、納得のいく治療方法を選択してください。