人工授精の痛みは個人差が大きい理由｜痛みを感じやすい人の特徴と対処法
人工授精（AIH・IUI）を受けるときに多くの人が気になるのが「痛み」。
SNSや口コミを見てみると、「全く痛くなかった」という声もあれば、「下腹部がズーンと痛んだ」という体験談もあり、感じ方に差がありますよね。
この記事では、人工授精の痛みに個人差がある理由と、痛みを和らげるための具体的な対策を、医療的視点からわかりやすく解説します。
■ そもそも人工授精とは？
人工授精（IUI：子宮内授精）は、排卵のタイミングに合わせて洗浄・濃縮した精子を子宮内に注入し、自然妊娠に近い形で受精を目指す不妊治療法です。
処置自体は5〜10分程度で終わりますが、このときに軽い痛みや違和感を感じる人と、まったく感じない人がいるのが特徴です。
■ 人工授精で痛みを感じる主な要因
痛みの感じ方は人それぞれですが、以下のような身体的・心理的な要素が関係しています。
① 子宮頸管（けいかん）の形や角度の違い
人工授精では、細いチューブ（カテーテル）を子宮内に通します。
このとき、子宮頸管が細い人や曲がっている人は、器具が通りにくく痛みを感じやすくなります。
また、出産経験のない女性は頸管が硬い傾向があり、痛みを感じやすいという特徴もあります。
💡ポイント
・子宮頸管が細い人は「チクッとした痛み」や「圧迫感」を感じやすい
・一方、出産経験者や頸管が柔らかい人は痛みを感じにくい
② カテーテルの挿入方法・器具の違い
医療機関によって使用するカテーテル（管）の太さや素材が異なります。
最近では柔らかいシリコン製が主流ですが、硬めの素材を使用する場合は違和感が出やすいことも。
また、医師の技術や経験によっても痛みの差が生じます。熟練した医師の場合、スムーズに挿入できるため、ほとんど痛みを感じないケースも多いです。
③ 子宮の収縮反応（プロスタグランジンの影響）
精子が子宮内に入ると、体が「受け入れよう」と反応して軽い子宮収縮が起こることがあります。
この収縮が「生理痛のような痛み」として感じられることがあります。
一時的なもので、数時間以内に自然に落ち着くことがほとんどです。
④ 精神的な緊張・ストレス
「痛いかもしれない」という不安から体が緊張すると、骨盤まわりの筋肉が硬直して痛みを感じやすくなります。
特に初めての人工授精では、心身のリラックスが難しいものです。
リラックスして受けることで、実際の痛みも軽減しやすくなります。
⑤ 排卵誘発剤やホルモン変化の影響
人工授精の前に排卵誘発剤（クロミッド・HMG注射など）を使うと、卵巣が一時的に腫れて下腹部の張りや痛みを感じることがあります。
処置そのものよりも、ホルモンの影響で痛みを強く感じやすくなるケースもあります。
■ 痛みを感じやすい人の特徴
痛みの個人差には、体質や生活習慣も関係しています。
| 痛みを感じやすい人 | 痛みを感じにくい人 |
|---|---|
| 子宮頸管が細い・硬い | 出産経験がある |
| 冷え性・血流が悪い | 体が温まりやすい |
| 緊張しやすい性格 | リラックスして臨める |
| 生理痛が重い | 生理痛が軽い |
| 排卵誘発剤を使用中 | 自然排卵での施行 |
■ 痛みを軽減するための5つの対策
人工授精は短時間の処置とはいえ、できるだけ快適に受けたいもの。
以下のポイントを意識するだけで、痛みの感じ方を大きく変えられます。
① 体を温めて血流を良くする
施術前に下腹部を温めることで筋肉の緊張が緩み、痛みを感じにくくなります。
冷え性の人は、当日朝に白湯を飲む・カイロを貼るなどの工夫を。
② 呼吸を深くしてリラックスする
浅い呼吸だと体が強張りやすくなります。
処置中は深呼吸を意識し、体の力を抜くことがポイント。
③ 医師に「痛みが不安」と伝える
痛みに不安がある場合は、事前に医師に伝えましょう。
経験豊富な医師なら、柔らかいカテーテルを使用したり、挿入角度を調整したりしてくれます。
④ 施術後は安静に
人工授精後は、子宮収縮を抑えるために30分ほど安静に横になるとよいでしょう。
その後も、激しい運動や入浴は避け、体を温かく保ちます。
⑤ 痛みが続くときは医師に相談
通常は数時間で治まりますが、激しい痛みや出血、発熱がある場合は感染や炎症の可能性も。
「我慢せずに受診」が基本です。
■ まとめ：痛みの感じ方は十人十色。焦らず、自分の体と向き合おう
人工授精の痛みは、体の構造やホルモンバランス、心の状態など、さまざまな要因で変わります。
「他の人は痛くなかったのに」と比べる必要はありません。
一番大切なのは、自分の体調や感覚を信じて、無理をしないこと。
安心して治療に臨めるよう、医師としっかりコミュニケーションを取りながら進めていきましょう。
🌸妊活をがんばるあなたへ
痛みや不安は誰にでもあります。大切なのは、「自分のペースで」「安心できる環境で」続けること。
小さな一歩の積み重ねが、未来への大きな希望につながります。