共働き夫婦の生命保険料控除、どっちで申告すべき?節税額を最大化する「振分け」の正解
共働き世帯にとって、毎年の年末調整や確定申告は「手取り額」を増やす絶好のチャンスです。特に「生命保険料控除」は、夫婦どちらの所得で申告するかによって、世帯全体の節税額が大きく変わることをご存知でしょうか?
「とりあえず自分の分は自分で……」と適当に分けてしまうと、実は数千円から数万円単位で損をしている可能性があります。
本記事では、共働き夫婦が生命保険料控除を最大限に活用するための「振分けの鉄則」と、具体的なケース別の最適解を詳しく解説します。
生命保険料控除の基本をおさらい
まずは、損をしないための前提知識を確認しましょう。生命保険料控除には「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3つの枠があり、それぞれ所得税で最大4万円、住民税で最大2.8万円(新制度の場合)の控除が受けられます。
世帯全体での控除枠は「夫の3枠」+「妻の3枠」で、理論上は合計6つの枠が存在することになります。
鉄則1:所得が高い方の親族が申告する
所得税は「累進課税」といって、所得が高くなるほど税率が上がる仕組みです。同じ10万円の控除を受けるにしても、税率が高い人が申告したほうが、戻ってくる税金(還付金)は多くなります。
夫の所得税率が20%、妻が10%の場合
同じ4万円の控除を受けても、節税額は夫なら8,000円、妻なら4,000円と、2倍の差が出ます。
基本的には、「年収が高い方の親族」に控除を集約させるのが節税のセオリーです。
鉄則2:「支払い能力」と「契約者」の関係を知る
「妻が契約者の保険を、夫の控除として申告できるのか?」という疑問をよく耳にします。結論から言うと、**「実際に保険料を支払っているのが誰か」**が重要です。
国税庁の指針では、保険料の支払者が本人であれば、受取人が配偶者や親族である保険の控除を受けることが可能とされています。共働きで家計を一つにしている場合、妻名義の保険であっても、夫の口座から引き落とされていたり、夫の給与から拠出されていたりするのであれば、夫側で申告できるケースがあります。
注意点:
勤務先の年末調整で申告する場合、契約者が配偶者名義だと受理されないケースや、贈与税の問題が生じる可能性もゼロではありません。実務上は「契約者を申告者に合わせる」か「支払実態を明確にする」ことがスムーズです。
鉄則3:上限額(8万円)を超えた分を振り分ける
生命保険料控除には「上限」があることが最大のポイントです。新制度の場合、年間の支払保険料が1つの枠で**8万円(月額約6,700円)**を超えると、それ以上いくら払っても控除額は4万円で打ち止めになります。
賢い振分けの具体例
たとえば、夫が「一般生命保険」の枠で年間16万円の保険料を払っている場合、夫一人で申告しても控除は4万円だけです。
もしこの16万円が「夫の終身保険(8万円)」と「妻の終身保険(8万円)」の合算であれば、
パターンA: 夫がまとめて申告 → 控除額 4万円
パターンB: 夫と妻で1本ずつ申告 → 控除額 8万円(4万+4万)
このように、上限を超えて溢れてしまった分をもう一人の枠に逃がすことで、世帯全体の控除合計額を増やすことができます。
ケース別:あなたに最適な振分けパターン
パターン① 夫婦の年収に差がある場合
年収が高い方の控除枠を優先的に埋めましょう。上限(各枠8万円の支払い)に達するまでは、年収が高い方の書類として提出します。上限を超えた分だけ、もう片方の配偶者の枠を使います。
パターン② 夫婦の年収が同程度の場合
それぞれの枠を「広く浅く」使うのがコツです。所得税は各枠4万円、住民税は各枠2.8万円で頭打ちになるため、夫婦で3枠ずつ(合計6枠)をバランスよく埋めることで、世帯の非課税枠を最大化できます。
パターン③ 「個人年金保険」がある場合
個人年金保険は支払額が大きくなりやすいため、すぐに上限の8万円に達します。もし夫婦でそれぞれ個人年金に入っているなら、必ず別々に申告して、それぞれの「個人年金保険料控除」をフル活用しましょう。
住民税の「合計上限」に注意!
所得税の控除上限は3枠合計で12万円ですが、住民税の上限は3枠合計で7万円です。
1つの枠につき住民税の控除限度額は2.8万円なので、3枠すべて埋めると「2.8万 × 3 = 8.4万」となりますが、最終的には7万円に切り捨てられます。
この「溢れた分」も、配偶者の枠が空いているなら、そちらで申告したほうが住民税もしっかり安く抑えられます。
手続きの際のチェックリスト
節税効果を最大化するために、以下のステップを確認してください。
控除証明書の仕分け:10月頃に届く証明書を「一般」「介護医療」「個人年金」に分類する。
上限チェック:各枠の合計支払額が8万円(旧制度なら10万円)を超えていないか確認。
シミュレーション:年収が高い方の枠が埋まったら、残りをもう片方の配偶者に回す。
年末調整の記入:会社から配布される「給与所得者の保険料控除申告書」に正しく転記する。
まとめ:少しの手間で数千円の節税に
共働き夫婦にとって、生命保険料控除は「枠のパズル」のようなものです。
「夫は一般枠と医療枠、妻は個人年金枠」といったように、夫婦で戦略的に分担することで、支払っている保険料の恩恵を100%受け取ることができます。
今の保険料の支払い状況を確認し、今年の年末調整からは「世帯全体での最適化」を目指してみませんか?
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