個人事業主・フリーランスのための安心保険設計ガイド


会社員とは異なり、傷病手当金や失業保険、退職金制度がない個人事業主にとって、保険設計は「守りの経営」そのものです。しかし、不安から何でも加入してしまうと、今度は固定費が家計を圧迫してしまいます。

この記事では、フリーランスが優先すべき保険の種類と、節税メリットを最大限に活かした賢い設計方法について、ステップ形式で分かりやすく解説します。


1. 最優先で検討すべき「働けないリスク」への備え

個人事業主にとって最も大きなリスクは、病気やケガで仕事ができなくなることです。会社員のような「傷病手当金」がないため、収入が途絶える直結のリスクに備える必要があります。

就業不能保険と所得補償保険

どちらも「働けなくなった際の月々の生活費」を補填するものですが、役割が異なります。

  • 所得補償保険(損保系):免責期間(待機期間)が数日と短く、数週間〜1、2年の短期・中期の療養に強いのが特徴です。

  • 就業不能保険(生保系):免責期間は60日〜と長めですが、60歳や65歳までといった長期間の就業不能をカバーします。

設計のコツ: まずは貯金(生活防衛資金)で数ヶ月しのげるようにし、その先をカバーする「就業不能保険」を優先すると、掛け金を抑えつつ致命的なリスクを回避できます。


2. 万が一の賠償請求から身を守る「賠償責任保険」

「納品の遅延で損害を与えた」「情報漏洩をしてしまった」「著作権を侵害したと言われた」――。フリーランスには、会社が守ってくれない損害賠償リスクが常に付きまといます。

  • フリーランス向け賠償保険:近年、フリーランス協会などの団体加入を通じて、手頃な掛け金で大きな補償(数千万円〜1億円規模)を得られるプランが増えています。

  • IT・クリエイティブ職は必須:特にシステム開発やデザイン、ライター職などは、意図せぬミスが多額の請求に繋がる可能性があるため、加入を強く推奨します。


3. 「節税」と「将来の備え」を両立させる仕組み

個人事業主の保険設計において、最大の武器は**「掛金を全額所得控除できる」**制度を活用することです。

小規模企業共済(退職金の準備)

国の機関が運営する、個人事業主のための退職金制度です。

  • メリット:月額最大7万円(年84万円)までの掛金が全額所得控除になります。

  • 節税効果:所得税・住民税を軽減しながら、将来の廃業や引退時の資金を確実に積み立てられます。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

自分で作る公的年金の補完制度です。

  • メリット:小規模企業共済と同様に、掛金の全額が所得控除の対象。運用益も非課税です。

  • 注意点:原則60歳まで引き出せないため、無理のない金額設定が重要です。


4. 健康保険の賢い選択

収入が増えてくると、国民健康保険料の高さに驚く方が多いです。職種によっては、以下の選択肢で固定費を下げられる可能性があります。

  • 文芸美術国民健康保険(文芸美術国保):デザイナー、イラストレーター、ライターなど、特定のクリエイティブ職が加入できる組合。所得に関わらず保険料が定額のため、高所得者ほど有利になります。

  • 任意継続:会社を辞めて2年以内であれば、前職の健康保険を継続できる制度。所得によっては国保より安くなることがあります。


5. ステップ別・おすすめ保険設計モデル

あなたの状況に合わせて、以下の優先順位で検討してみてください。

ステップ対象者優先すべき保険・制度
Step 1全員公的保険(国保・年金)の納付+賠償責任保険
Step 2生活を安定させたい就業不能保険(所得補償)
Step 3利益が出始めた小規模企業共済・iDeCo(節税対策)
Step 4家族がいる収入保障保険(死亡保障)・医療保険

まとめ:保険は「最小限」から始める

フリーランスの保険設計で大切なのは、**「公的保障で足りない分だけを民間保険で補う」**という引き算の考え方です。

まずは自身の生活防衛資金(半年〜1年分の生活費)を貯めることを優先し、その上で自分では抱えきれない「賠償リスク」や「長期の休業リスク」を保険でカバーしましょう。そして、利益が出たら小規模企業共済などで賢く節税しながら、将来の自分へ投資していくのが理想的な設計です。

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