年金天引きは損?後期高齢者医療保険料を「口座振替」に変更して世帯の税金を安くする裏ワザ
75歳になり、後期高齢者医療制度に加入すると、保険料は原則として「年金からの天引き(特別徴収)」になります。手間がかからず便利な仕組みですが、実はそのままにしておくと家計全体で損をしている可能性があることをご存知でしょうか。
「年金の手取りが減って寂しい」「少しでも家計の負担を減らしたい」と感じているなら、支払い方法を「口座振替」に変更するのがおすすめです。
この記事では、支払い方法を変えるだけで世帯全体の税金を安くできる具体的な仕組みと、その手続き方法について分かりやすく解説します。
1. なぜ「年金天引き」のままだと損をすることがあるのか?
その理由は、税金の計算で使われる**「社会保険料控除」**の仕組みにあります。
所得税や住民税を計算する際、支払った健康保険料は全額が所得から差し引かれ、税金を安くする効果があります。しかし、年金から天引きされている場合、その控除を受けられるのは「年金を受け取っている本人」だけに限られてしまいます。
もし、ご本人の所得が低く、もともと所得税がかかっていない(非課税)状態であれば、いくら保険料を支払っても、それ以上税金が安くなることはありません。この「控除の権利」が、いわば宝の持ち腐れになってしまうのです。
2. 支払い方法を「口座振替」に変えるメリット
支払い方法を年金天引きから「口座振替」に変更し、その保険料を生計を共にするご家族(息子さんや娘さん、配偶者など)の口座から引き落とすように設定すると、大きなメリットが生まれます。
世帯全体の所得税・住民税が安くなる
口座振替に変更してご家族が支払った場合、その保険料は「支払ったご家族」の社会保険料控除として申告できるようになります。
現役世代で所得が高いご家族が控除を受けることで、所得税率が高い分、還付される金額や安くなる住民税の額が大きくなり、世帯全体で自由に使えるお金が増えるのです。
本人の年金受取額(手取り)が増える
年金から天引きされなくなるため、通帳に振り込まれる年金の額が額面通りに近づきます。月々の生活費を自分で管理しやすくなるという精神的なメリットも大きいでしょう。
3. 「口座振替」への変更手続きは3ステップ
この裏ワザを利用するためには、単に口座を変えるだけでなく、正式な手続きが必要です。
金融機関で口座振替の手続きをする
まずは、引き落としを希望する口座がある銀行などの窓口で「口座振替依頼書」を提出します。この際、控えを必ずもらっておきましょう。
市区町村の窓口に「納付方法変更申出書」を出す
お住まいの役所の後期高齢者医療制度の窓口へ行き、年金天引きを停止するための申請をします。銀行でもらった控えが必要になる場合があります。
確定申告や年末調整で申告する
実際に保険料を支払ったご家族が、年末調整や確定申告の際に「社会保険料控除」として支払った金額を記入します。
※手続きから天引きが止まるまでには2〜3ヶ月かかることがあるため、早めの行動がおすすめです。
4. 注意点:誰でも口座振替にした方がいいの?
非常にメリットの多い方法ですが、以下の場合は慎重に検討しましょう。
ご本人の所得が高い場合: ご本人に高い所得税がかかっているなら、そのまま本人の控除として利用した方が節税効果が高いこともあります。
別居している場合: 「生計を一にしている(仕送りをしている、財布が同じなど)」という実態が必要です。
介護保険料との兼ね合い: 介護保険料は依然として年金天引きのままとなるのが一般的です。
5. まとめ:家計を守るための賢い選択を
「制度だから仕方ない」と諦めてしまいがちな後期高齢者医療保険料ですが、支払い方ひとつで家計を助ける強力な節税ツールに変わります。
特に、現役で働くお子さんと同居している場合や、ご本人が住民税非課税世帯の場合は、口座振替への変更を検討する価値が十分にあります。
「自分の場合はいくら安くなるの?」「どっちの口座から引くのが一番お得?」といった疑問があれば、一度役所の税務課や、お近くの税理士さんにシミュレーションを依頼してみるのも良いでしょう。
少しの手続きで、これからの数年、十数年の支出を抑えることができます。まずは次の年金振込日に、ご家族で通帳を見ながら話し合ってみてはいかがでしょうか。
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