共働き夫婦の年末調整、その「1枚」で還付金が変わる?


「夫と私、どっちの書類にこの保険を書けばいいの?」

「共働きなら、それぞれが自分の保険を書くのが当たり前じゃないの?」

年末調整のシーズン、共働きのご家庭で必ずと言っていいほど話題にのぼるのが、**「保険料控除申告書の割り振り」**です。実は、なんとなくで提出してしまうと、世帯全体で数千円、時には数万円単位の損をしてしまう可能性があることをご存知でしょうか。

保険料控除は、単に「入っている保険を書く」だけではありません。戦略的に「誰が、どの保険を申告するか」を決めることで、還付金を最大化させることができるのです。

今回は、共働き夫婦が知っておくべき**「所得」と「支払い口座」の法則**に基づき、最もお得な申告の正解を分かりやすく解説します。


1. 原則ルール:保険料を「実際に支払っている人」が控除を受ける

まず、大前提となる法律上のルールを押さえておきましょう。

保険料控除を受けられるのは、**「その保険料を実際に支払った人」**です。

多くの場合は「契約者=支払い者」ですが、必ずしもそうでなくても構いません。例えば、「契約者は妻だが、保険料は夫の銀行口座から引き落とされている」という場合、その保険料は夫の控除として申告することが可能です。

ここに注意!「支払い原資」の考え方

税務署の判断基準は「誰の財布からお金が出たか」です。

  • 夫の口座から引き落とし: 夫が申告

  • 妻の口座から引き落とし: 妻が申告

  • 給与天引き: その給与をもらっている本人が申告

つまり、妻の名義の保険であっても、家計を一にしている夫の口座から支払っていれば、夫の書類に書いても問題ありません。この仕組みを利用するのが、節税の第一歩です。


2. 還付金を最大化する「所得」の法則

共働き夫婦の場合、どちらの申告書に書くのが得なのでしょうか?その答えは、夫婦それぞれの**「所得(税率)」**にあります。

所得が高い方にまとめるのが「鉄則」

日本の所得税は、所得が高くなるほど税率が上がる「超過累進税率」を採用しています。

$$\text{節税額} = \text{所得控除額} \times \text{所得税率}$$

同じ10万円の控除を受けるにしても、税率5%の人と税率20%の人では、戻ってくる金額に大きな差が出ます。

項目夫(所得高め・税率20%)妻(所得控えめ・税率5%)
10万円控除した場合約20,000円の減税約5,000円の減税

このように、税率が高い(年収が高い)方の親族に控除を集中させたほうが、世帯全体のキャッシュフローは良くなります。


3. 「枠」を使い切る!控除枠の賢い分散術

所得が高い方にまとめるのが基本ですが、これには「上限」という壁があります。ここで「分散」というテクニックが必要になります。

各枠の上限をチェック

生命保険料控除には、「一般」「介護医療」「個人年金」の3つの枠があり、それぞれ所得税で最大4万円(新契約の場合)という上限があります。

  • ケースA:夫一人ですべて申告する場合

    夫がすでに「一般生命保険」の枠で上限の保険料を支払っている場合、それ以上妻の分の一般生命保険を夫の書類に書いても、控除額は増えません。

  • ケースB:夫婦で分けて申告する場合

    夫の枠が溢れているなら、妻の保険は妻自身の書類で申告しましょう。そうすることで、妻の所得税・住民税が安くなり、結果として世帯全体の控除額を最大化できます。

【黄金のステップ】

  1. まず、年収の高い方の書類で各枠(一般・介護・年金)の上限まで埋める。

  2. 上限からはみ出した分の保険料は、もう一方の配偶者の書類で申告する。


4. 知らなきゃ損する「お宝」活用術

iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)の扱い

iDeCoの掛金は、生命保険料控除とは異なり、「全額」が所得控除になります。非常に強力な節税手段ですが、これは「加入者本人」の所得からしか控除できません。「夫の口座から妻のiDeCoを払う」という設定はできないため、注意が必要です。

社会保険料控除の裏ワザ

もし、二十歳になったお子さんの国民年金保険料を、親であるあなたが支払った場合、それは支払った親の控除として申告できます。これも、夫婦のうち所得が高い方の書類に記入することで、節税効果をブーストさせることができます。


5. まとめ:今年の年末調整でやるべきこと

共働き夫婦が保険料控除で損をしないためのポイントは以下の3点です。

  1. 支払い口座を確認する: 誰の口座から落ちているか?(実態に合わせる)

  2. 所得(税率)を比較する: 年収が高い方に優先的に割り振る。

  3. 枠の余りを確認する: 一方の枠がいっぱいなら、もう一方の書類に分散させる。

「どっちに書こうかな?」と迷ったときは、まずご夫婦それぞれの昨年の源泉徴収票を並べて、所得税率を確認してみてください。少しの手間で、冬のボーナスとは別の「ちょっとした臨時収入」が手に入るはずですよ。




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