「労災を使わせない」は違法!会社に拒否された時の対処法と、一人でもできる申請手続きの全手順
仕事中や通勤途中にケガをしてしまった際、当然のように受けられるはずの「労災(労働者災害補償保険)」。しかし、いざ会社に相談すると「うちでは労災は使えない」「健康保険で対応してくれ」と言われ、困惑している方も少なくありません。
結論からお伝えすると、会社が労災の申請を拒否することは「労災隠し」という違法行為に当たる可能性があり、たとえ会社の協力が得られなくても、あなた一人で申請を進めることは可能です。
この記事では、労災を拒否された時の具体的な対処法や、会社を通さずに自分で手続きを完了させる全手順、そして申請時に注意すべきポイントを詳しく解説します。あなたの心身の回復と生活の権利を守るために、ぜひ最後まで読み進めてください。
なぜ会社は労災を嫌がるのか?「労災隠し」の裏側
そもそも、なぜ会社は労災の手続きを渋るのでしょうか。そこには、会社側の身勝手な都合や誤解が隠れていることがほとんどです。
労働基準監督署の調査を恐れている:労災が発生すると、原因究明のために労働基準監督署の調査が入ることがあります。安全管理の不備を指摘されるのを避けたいという心理が働きます。
労災保険料が上がると思っている:大規模な事業所を除き、1件の事故で即座に保険料が跳ね上がることは稀です。
事務手続きが面倒:単に担当者が知識不足で、手続きを煩わしく感じているケースもあります。
しかし、どのような理由であれ、労災が発生した事実を隠したり、報告を怠ったりすることは法律で厳しく禁じられています。
会社が協力してくれない!そんな時の3つの対処法
「会社が書類を書いてくれないから諦めるしかない」と考える必要はありません。以下のステップで対応しましょう。
1. 「事業主の証明」がなくても申請はできる
通常、労災の請求書には「事業主の証明(会社の印鑑)」をもらう欄があります。しかし、会社がこれを拒否した場合、その欄は空欄のままでも労働基準監督署は書類を受理してくれます。
2. 「報告拒否の理由書」を添える
空欄で提出する際、「会社に依頼したが拒否された」という経緯を記した別紙(理由書)を添えるのが効果的です。形式は自由ですが、いつ、誰に相談し、どのような理由で断られたかを具体的に記載しましょう。
3. 労働基準監督署の相談窓口へ行く
管轄の労働基準監督署には、労働者向けの相談窓口が設置されています。「会社が労災として認めてくれない」と正直に相談すれば、監督署から会社に対して指導が入ったり、調査が開始されたりします。
【保存版】一人でもできる!労災申請の全手順
会社に頼らず、自分自身で手続きを進めるための具体的な流れを解説します。
ステップ1:病院の選び方と受診のコツ
労災の可能性がある場合、受診時に必ず**「仕事中のケガです」**と伝えてください。
労災指定病院:窓口で「療養補償給付」の請求書を提出すれば、その場での支払いは0円になります。
指定外病院:一度全額(10割)を自己負担し、後から労働基準監督署へ請求して返金を受けます。
※注意:絶対に「健康保険証」を使わないでください。後から切り替える手間が発生します。
ステップ2:必要書類の入手
労働基準監督署の窓口、または厚生労働省のホームページからダウンロードして以下の書類を用意します。
療養補償給付(治療費のため)
休業補償給付(仕事を休む期間の生活費のため)
ステップ3:書類の記入と提出
住所、氏名、事故が発生した状況(いつ、どこで、何をしていて、どうなったか)を詳しく記入します。
会社印の欄は、前述の通り空欄でも構いません。そのまま管轄の労働基準監督署の窓口へ持参するか、郵送で提出します。
ステップ4:調査と支給決定
提出後、労働基準監督署が必要に応じてあなたや会社にヒアリング調査を行います。無事に認定されれば、あなたの指定した口座に給付金が振り込まれます。
労災を申請する際に知っておくべき「お宝知識」
知らないと損をする、労災制度の重要なポイントをまとめました。
正社員じゃなくても対象になる:アルバイト、パート、日雇い、派遣社員など、働く人すべてが対象です。
退職後でも申請可能:在職中に起きたケガであれば、会社を辞めた後でも時効(通常2年)以内なら申請できます。
休業中の解雇は禁止:労災で休業している期間と、その後30日間は、法律によって会社があなたを解雇することは原則としてできません。
通勤中の寄り道は?:夕食の買い物など、日常生活に不可欠な最小限の寄り道であれば、ルートに戻った後の事故も「通勤災害」として認められる場合があります。
まとめ:あなたの権利は国が守ってくれる
「会社に迷惑をかけるかも」という遠慮や、「手続きが怖そう」という不安で、本来受け取るべき補償を諦めてしまうのは非常にもったいないことです。
労災保険は、あなたが安心して働き、万が一の際にも生活を立て直せるように用意された、国による強力なセーフティネットです。会社が背を向けても、労働基準監督署や専門家はあなたの味方になってくれます。
まずは、お近くの労働基準監督署へ電話一本かけるところから始めてみませんか?あなたの正当な権利を守ることが、ひいては同じ職場で働く仲間を守ることにも繋がります。