給与明細の落とし穴!健康保険料が安い会社と高い会社の違いとは?
毎月の給与明細を見て、「額面は変わらないのに、なぜか手取りが少ない……」と感じたことはありませんか?その原因の一つとして、実は**「健康保険料」**が大きく関わっています。
会社員が加入する健康保険には種類があり、どの保険制度を採用している会社かによって、毎月天引きされる金額に数千円、年間では数万円単位の差が出ることがあるのです。今回は、手取り額を左右する「保険料率」の仕組みと、賢い見方について優しく解説します。
なぜ会社によって健康保険料が違うのか?
日本の公的医療保険制度(被用者保険)は、大きく分けて2つの組織が運営しています。
協会けんぽ(全国健康保険協会)
主に中小企業の従業員とその家族が加入する組織です。都道府県ごとに保険料率が決まっており、基本的には全国平均に近い数値で運用されています。
組合健康保険(組合健保)
大企業が単独で、あるいは同業種の企業が集まって独自に設立した「健康保険組合」です。
この**「組合健康保険」**こそが、健康保険料の安さや手取り額の多さに直結するポイントとなります。
手取りを左右する「保険料率」のカラクリ
健康保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)に**「保険料率」**を掛けて算出されます。この料率の設定ルールが、協会けんぽと組合健保では大きく異なります。
協会けんぽの場合
都道府県ごとに一律の料率が設定されています(例:東京都なら約10%前後など)。これを会社と従業員で半分ずつ負担(労使折半)するため、個人の負担は約5%程度になるのが一般的です。
組合健康保険(組合健保)の場合
組合健保の最大のメリットは、**「自前で料率を決められる」**ことです。
加入者の平均年齢が若かったり、健康意識が高くて医療費の支出が少なかったりする優良な組合では、協会けんぽよりも低い料率を設定できます。
さらに、法律で定められた「労使折半」以上の割合を会社が負担してくれるケース(例:会社6割、本人4割など)もあり、そうなると従業員の給与から引かれる金額は劇的に安くなります。
実例で比較!保険料の差が生む「隠れた年収差」
例えば、月収30万円(標準報酬月額)の人が、料率の異なる2つの会社に勤めた場合をシミュレーションしてみましょう。
| 項目 | A社(協会けんぽ:東京都) | B社(優良な組合健保) |
| 全体の保険料率 | 約10.0% | 約8.0% |
| 本人負担割合 | 5.0%(折半) | 3.5%(会社が多めに負担) |
| 毎月の保険料 | 15,000円 | 10,500円 |
| 毎月の差額 | - | 4,500円お得! |
| 年間の差額 | - | 54,000円お得! |
このように、月々の差はわずかに見えても、年間で見ると「旅行一回分」や「豪華なディナー数回分」の差が生まれるのです。これが「健康保険料が安い会社=手取りが多い会社」の正体です。
安いだけじゃない!組合健保が「お宝」と言われる理由
組合健康保険の魅力は、保険料の安さだけにとどまりません。実は、支払うお金が少ないのに、受け取れるサービスが手厚いという特徴があります。
1. 付加給付(独自の医療費払い戻し)
通常、高額な医療費がかかっても「高額療養費制度」で一定額に抑えられます。組合健保ではさらに独自の上乗せがあり、「自己負担は月25,000円まで、それ以上は組合が全額負担」といった驚くほど手厚い制度を持つところもあります。
2. 充実した検診・人間ドック補助
協会けんぽよりも検査項目が多い健診を無料で受けられたり、郵送でのがん検診、インフルエンザ予防接種の全額補助など、予防医療への投資が活発です。
3. 福利厚生施設の利用
提携しているリゾートホテル、スポーツクラブ、キャンプ場などを格安で利用できるのも、組合健保ならではの特権です。
自分の健康保険をチェックする方法
自分の会社がどの保険に入っているかは、お手元の**「健康保険証」**を見れば一発で分かります。
**「全国健康保険協会 ○○支部」**と書いてあれば、協会けんぽです。
**「○○健康保険組合」**という名称であれば、組合健保です。
もし組合健保であれば、組合のWebサイトを確認してみてください。「付加給付」や「保養所案内」など、知らなければ損をするお宝情報がたくさん掲載されているはずです。
まとめ:給与額面だけで判断しない賢い視点
転職活動中の方や、これから社会に出る方は、ぜひ「基本給」だけでなく「福利厚生・社会保険」の欄もチェックしてみてください。組合健康保険がある会社は、実質的な手取り額や生活の質が高くなる傾向にあります。
また、すでに加入している方は、自分がどれだけ恵まれた環境にいるかを再認識し、提供されているサービスをフル活用することが、最も確実な「節約」と「資産形成」への近道となります。
給与明細の「健康保険料」の欄。そこには、会社が従業員の健康と生活をどれだけ守ろうとしているかというメッセージが隠されているのです。
組合健康保険(組合健保)とは?メリット・デメリットと協会けんぽとの違いを徹底解説