75歳の壁はいくら?「後期高齢者医療制度」に切り替わるタイミングと保険料の計算方法
「75歳になると保険料が上がるって本当?」「手続きはどうすればいいの?」と、誕生日の接近とともに不安を感じる方は少なくありません。
これまで会社の健康保険や国民健康保険に入っていた方も、75歳の誕生日を迎えると、全ての人が「後期高齢者医療制度」という新しい仕組みに切り替わります。いわゆる「75歳の壁」と呼ばれるこの転換期には、保険料の計算ルールや窓口での負担割合が大きく変わるため、事前の知識があるかないかで家計への影響も変わってきます。
この記事では、75歳からの医療保険がいつから、どのように変わるのか、そして気になる保険料の計算方法や負担を軽くするポイントを詳しく解説します。
1. 75歳から何が変わる?切り替わりのタイミングと手続き
後期高齢者医療制度への移行は、非常にスムーズですが注意点もあります。
加入のタイミングは「75歳の誕生日当日」
75歳になる方は、誕生日の当日から自動的に後期高齢者医療制度の被保険者となります。例えば、4月1日が誕生日であれば、その日の午前0時から新しい制度に切り替わります。
面倒な加入手続きは「原則不要」
基本的には、お住まいの自治体から誕生日の前月までに「新しい被保険者証(保険証)」が郵送で届きます。そのため、役所へ行って加入の手続きをする必要はありません。
注意点:家族の扶養に入っていた場合
お子さんなどの職場の健康保険に「扶養家族」として入っていた方は、自身の加入手続きは不要ですが、ご家族側で「扶養から外す手続き」が必要になる場合があります。勤務先の担当部署に確認しておくと安心です。
2. 後期高齢者医療保険料の計算方法をわかりやすく解説
保険料がいくらになるかは、お住まいの地域(都道府県ごとの広域連合)によって異なりますが、計算の構成は全国共通です。
保険料は、以下の2つの合計で決まります。
① 均等割額(全員一律の基本料金)
所得に関係なく、加入者一人ひとりが等しく負担する定額の部分です。地域によりますが、年額でおよそ4万円〜6万円程度に設定されています。
② 所得割額(所得に応じた加算金)
前年の所得に応じて決まる部分です。以下の式で計算されます。
(前年の総所得金額等 - 基礎控除43万円)× 所得割率
所得割率は自治体ごとに異なりますが、概ね10%前後です。年金収入が主な方は、公的年金控除を差し引いた後の金額が計算のベースになります。
保険料の上限(賦課限度額)
どんなに所得が高い人でも、支払う保険料には天井(上限)があります。2024年度・2025年度は原則として「年額80万円」ですが、制度の維持のために高所得者を対象として段階的に引き上げられる傾向にあります。
3. 「保険料が高い」を防ぐ!知っておきたい軽減と優遇措置
「年金暮らしで保険料を払うのが大変」という不安を解消するために、所得に応じた強力な軽減措置が用意されています。
均等割額の7割・5割・2割軽減
世帯全体の所得が基準以下であれば、基本料金である「均等割額」が大幅に減額されます。
7割軽減: 年金収入のみの場合、1人世帯で年収約153万円以下などが目安です。
元・被扶養者の特例: 会社の健保の扶養に入っていた方は、加入から2年間に限り、均等割額が5割軽減され、所得割額はかかりません。
窓口負担割合の判定(1割・2割・3割)
保険料だけでなく、病院の窓口で払う割合も所得で決まります。
1割: 一般的な所得の方。
2割: 一定以上の所得がある方(単身で年収200万円以上、夫婦で合計320万円以上が目安)。
3割: 現役並みの所得がある方。
※2割負担の対象になった方には、急激な負担増を抑えるための配慮措置が設けられている場合もあります。
4. 損をしないためのチェックポイント
75歳以降の医療費負担を最適化するために、以下の2点を確認しておきましょう。
確定申告で「社会保険料控除」を活用
年金から天引き(特別徴収)されている保険料は、ご自身の所得税・住民税の控除対象になります。もし口座振替に変更してご家族が支払っている場合は、そのご家族の所得から控除できるため、世帯全体の節税につながるケースがあります。
「限度額適用・標準負担額減額認定証」の申請
住民税非課税世帯の方は、窓口での支払いや入院時の食費が安くなる認定証を受け取れる場合があります。自動では届かない自治体も多いため、対象になりそうな場合は役所の窓口へ確認してみましょう。
まとめ:正しく知れば「75歳の壁」は怖くない
75歳からの医療保険制度は、現役世代の負担を抑えつつ、高齢者が安心して医療を受けられるように設計されています。
誕生日に自動で切り替わるので、新しい保険証を待てばOK
所得が低い場合は「7割・5割・2割」の軽減が自動適用される
元扶養家族の方は、最初の2年間は特に優遇がある
「いくら払うのか」にばかり目が行きがちですが、軽減制度や控除をしっかり活用することで、実質的な負担を抑えることが可能です。お手元に届く「保険料決定通知書」には、ご自身の軽減内容が詳しく記載されています。もし内容に疑問があれば、お住まいの市区町村の窓口で「私の場合は軽減されていますか?」と気軽に聞いてみてください。
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