不妊治療の自己負担を「実質0円」にする全手法|東京都の3割負担助成と医療費控除の併用シミュレーション
「不妊治療が保険適用になったけれど、結局いくらかかるの?」
「体外受精をしたいけれど、家計への負担が重くて踏み出せない」
2022年4月からスタートした不妊治療の保険適用。窓口負担が3割になったとはいえ、何度も繰り返す可能性のある治療において、数十万円単位の出費は大きな悩みですよね。
しかし、**「国の保険制度」×「自治体の独自助成」×「税制優遇」**をフル活用することで、自己負担を限りなくゼロに近づけることが可能になっています。
この記事では、特に手厚い支援で知られる東京都の事例を軸に、実質負担を劇的に減らすための全手法をシミュレーション付きで徹底解説します。
1. 基礎知識:保険適用の「3割負担」はいくらになる?
まず、保険診療における自己負担額を整理しましょう。人工授精や体外受精、顕微授精など、基本的な治療はすべて3割負担の対象です。
高額療養費制度の適用
不妊治療の月額負担には「高額療養費制度」が適用されます。一般的な所得世帯(年収約370万〜770万円)の場合、1ヶ月の自己負担上限額は約8万円〜9万円程度となります。
どんなに高度な治療を保険の範囲内で行っても、窓口で支払う上限はこの金額に抑えられるのが現在の日本のルールです。
2. 東京都の最強助成金「3割負担分をさらに補助」
現在、最も注目されているのが、東京都をはじめとする一部自治体が実施している**「保険診療への上乗せ助成」**です。
東京都特定不妊治療費助成(2026年最新版)
東京都では、保険診療の自己負担分(3割分)に対して、以下の助成を行っています。
助成額: 1回の治療(移植)につき最大15万円
対象: 都内在住の夫婦(事実婚含む)
回数: 保険適用の回数制限(40歳未満6回、40〜43歳未満3回)と同じ回数まで
つまり、前述した「高額療養費制度の上限額(約8万円)」を、東京都の助成金(15万円まで)でカバーできるため、窓口負担分が実質0円になる計算です。
3. 【実録】実質0円を実現する「併用シミュレーション」
具体的に、体外受精1クール(採卵〜移植)を行った場合の収支を見てみましょう。
※年収500万円世帯、東京都立川市在住の例
総医療費: 約50万円(全額10割の場合)
保険適用(3割): 15万円
高額療養費制度適用: 約8.5万円(窓口での実際の支払い額)
東京都の助成金申請: ▲8.5万円(全額キャッシュバック)
実質自己負担: 0円
さらに、ここから「先進医療」を選択した場合でも、自治体によっては先進医療費用の7割〜10割を別途助成してくれるケース(東京都先進医療助成など)もあり、手出しを最小限に抑えられます。
4. 最後に効く「医療費控除」で住民税・所得税を還付
助成金でカバーできなかった交通費や、薬代、サプリメント代などは、確定申告の**「医療費控除」**で取り戻しましょう。
医療費控除のポイント
対象: 1年間に支払った医療費の総額(家族合算)が10万円(所得200万円未満は所得の5%)を超えた場合。
助成金は差し引く: 自治体からもらった助成金額は、医療費総額から差し引いて計算する必要があります。
交通費を忘れずに: 通院にかかった電車・バス代も控除対象です。タクシーもやむを得ない事情(深夜や緊急時)があれば認められる場合があります。
5. 知らないと損する!「先進医療」と「自由診療」の境界線
不妊治療を「実質0円」にする最大のコツは、保険診療の枠内で治療を完結させるか、認められた「先進医療」のみを組み合わせることです。
先進医療(併用OK): タイムラプス、SEET法など。保険診療と併用しても「混合診療」にならず、一部自治体の助成対象になります。
自由診療(併用NG): 国が認めていない最新治療を一つでも混ぜると、本来保険が効くはずの検査や投薬まですべて「10割負担」になってしまいます。
治療方針をクリニックと相談する際は、必ず「この治療は保険診療と併用できますか?」と確認することが、家計を守る防衛策となります。
まとめ:経済的な壁を理由に諦めないために
不妊治療の「お金」の問題は、2026年現在、制度を正しく知ることで大幅に軽減できるようになりました。
お住まいの自治体の助成金を今すぐチェックする。
高額療養費制度の限度額適用認定証を事前に準備する。
先進医療特約のある医療保険に入っているか確認する。
この3点を確認するだけで、数百万円単位の将来的なコストを削減できる可能性があります。不妊治療は時間との勝負でもあります。まずは経済的な不安を解消し、心にゆとりを持って治療に臨める環境を整えましょう。