認定調査で「非該当」にならないために。当日の立ち会いで家族が必ず伝えるべき「5つのチェックリスト」とNG回答例
「親の介護が必要なのに、もし『自立(非該当)』と判定されたらどうしよう……」
介護保険の申請をすると、市区町村の調査員が自宅を訪問して本人の状態を確認する「認定調査」が行われます。この調査結果が、その後の介護サービスを受けられるかどうか、そして自己負担額がいくらになるかを左右する非常に重要な分かれ道となります。
しかし、調査の場で本人が「しっかりしているところを見せよう」と無理をしてしまい、実態よりも軽く判定されてしまうケースが後を絶ちません。
この記事では、認定調査で後悔しないために、家族が当日必ず伝えるべき「5つのチェックリスト」と、ついついやってしまいがちな「NG回答例」を分かりやすく解説します。
1. なぜ認定調査で「実態」が伝わらないのか?
認定調査の際、多くのお年寄りは「外からの客人が来る」と緊張し、背筋を伸ばして元気に振る舞おうとします。
普段は手すりがないと歩けないのに、調査員の前だけスッと立ち上がる。
物忘れが激しいのに、昔の記憶を頼りにハキハキと答えてしまう。
調査員は「その瞬間の姿」を基準に判断せざるを得ません。だからこそ、日頃の本当の姿を知っている家族の立ち会いと補足説明が、適切な判定を得るための鍵となります。
2. 家族が必ず伝えるべき「5つのチェックリスト」
調査員が確認する項目は多岐にわたりますが、特に判定に大きく影響し、かつ見落とされやすいのが以下の5点です。
① 「できる」の頻度と安全性
単に動作ができるかどうかだけでなく、「毎日、安全に、一人で」できるかを確認してください。「時々できる」や「支えがあればできる」は、介護の世界では「介助が必要」な状態です。
② 認知症の周辺症状(行動・心理症状)
物忘れだけでなく、同じことを何度も聞く、火の不始末がある、急に怒り出す、夜中に歩き回るなど、家族が困っている具体的なエピソードを伝えます。
③ 身体の麻痺や関節の痛み
一見普通に歩いているように見えても、実は膝に激痛を抱えていたり、片側に軽い麻痺があったりして、日常生活に制限がある場合は必ず伝えてください。
④ 排泄の失敗や夜間の対応
非常にデリケートな問題ですが、隠さずに伝える必要があります。失禁の頻度や、夜間に家族が何度トイレの付き添いをしているかは、介護の手間を示す重要な指標です。
⑤ 薬の管理や通院の状況
「薬を正しく飲めているか」「飲み忘れを家族がチェックしているか」など、目に見えないサポートの内容を具体的に説明しましょう。
3. 注意!ついついやってしまう「NG回答例」
調査員からの質問に対し、良かれと思って答えたことがマイナスの判定につながる「NG回答」があります。
NG例1:「本人が『できる』と言っているので大丈夫です」
本人のプライドを尊重したい気持ちは分かりますが、事実に反する場合は「実際には、着替えに30分以上かかり、ボタンも掛け違えてしまいます」と、客観的な事実を付け加えてください。
NG例2:「今は家族が全部やっているので、困っていません」
家族が献身的に支えているから「困っていない」ように見えるだけで、実際には多大な介護の手間が発生しています。家族のサポートがないとしたらどうなるか、という視点で伝えましょう。
NG例3:「たまに調子が悪い時があるだけです」
調査員は「最も状態が良い時」ではなく「日常的な平均値」を知りたがっています。一番大変な時の様子を基準に話すようにしてください。
4. 調査をスムーズに進めるための「家族の事前準備」
当日、緊張してうまく話せないことを防ぐために、以下の準備をしておくのがおすすめです。
介護メモ(日記)を作成する
1週間分程度で構いません。困ったこと、失敗したこと、家族が手伝ったことを箇条書きにしておきます。これを当日調査員に渡すだけで、説明の漏れがなくなります。
本人の前で言いづらいことは「別室」で
本人のプライドを傷つけたくない、または本人の前では本当のことが言えない(本人が怒り出すなど)場合は、調査員に「後で電話で補足させてほしい」と伝えるか、玄関先など別室で話す時間を作ってもらいましょう。
5. もし「非該当」や納得のいかない結果が出たら?
認定結果に納得がいかない場合は、以下の2つの方法があります。
不服申し立て(審査請求):都道府県の介護保険審査会に申し立てます。
区分変更の申請:状態が変化したとして、再度調査をやり直してもらう方法です。
まずはケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、なぜその判定になったのかを分析することから始めましょう。
6. まとめ:適切なサービスを受けるための「等身大」の報告
認定調査は、優劣を競う試験ではありません。ご本人がこれから安全に、自分らしく生活していくために必要な「助け」の量を測るためのものです。
見栄を張ったり、無理をしたりせず、**「日頃のありのままの姿」**を正確に伝えること。それが、結果としてご本人とご家族の生活を楽にすることにつながります。
もし不安があれば、申請をサポートしてくれる地域包括支援センターの職員に、事前のシミュレーションをお願いしてみるのも良い方法です。
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